1982年入社
機械科 卒業
機械設備部 部長
Q1. 機械設備職の仕事を教えてください。
A. 機械設備部には2つの役割があります。1つは社内向けの業務で、自社の生産設備の開発・改良・メンテナンス等に関するもの。もう1つは、ユーザーのご要望に応えられる研磨機の開発です。
Q2. 自社の生産設備に関する業務について教えてください。
A. この業務は、大きく分けて新規設備の導入や改善、メンテナンスがあります。新規設備の導入では、まず市販されている設備の中から見合うものがないか探しますが、当社の砥石は大半が特注品の特殊なものであり、設備も特殊な仕様が求められるため、市販の設備をそのまま使えるということは、まずありません。多少の改良で事足りる場合は当社仕様にカスタマイズし、求める仕様をまったくクリアできない場合は、手間と時間はかかりますが、設計から始めます。
この仕事で大切なのは、柔軟な発想力です。前例を参考にするのはもちろん欠かせないことですが、時に、前例にとらわれすぎると壁にぶつかってしまうこともあります。
例えば、以前こういうことがありました。砥石は砥粒と結合材を攪拌機で混ぜて作るのですが、当時の工業用の攪拌機では思うような成果が出ませんでした。試行錯誤の中でふと思いついたのが、パンを製造する際に使う撹拌機です。まったく異なる業界の機械ですが、試しに使ってみたところ、期待以上の働きをしてくれました。開発にはそんな突拍子もない発想が生きてくることもあるのです。壁にぶつかったときは苦労しますが、それを乗り越えたときの喜びこそ開発の醍醐味ですね。
Q3. ユーザー向けの研磨機開発について教えてください。
A. 当社は弾性砥石だけをユーザーに提供しているのではなく、砥石を組み込んだ研磨機や、研磨加工のノウハウも提供しています。研磨機開発にあたっては、ユーザーの生産ラインとの整合性を図りながら進めていくので、完全受注生産です。現在は国内外合わせて46社で採用され、89ラインが稼働中です。
数年前には台湾の素材メーカーからのオファーを受けて研磨機の開発を担当し、現地に何度も足を運び、仕様の打ち合わせから生産ラインの設計などを進めていきました。研磨機は生産ラインの一部に組み込まれるので、前後の設備とのスムーズな連携も考えなくてはなりません。それもこの仕事の面白さのひとつですね。また、このプロジェクトには若い部下も連れて行きました。現地に行くことでいろいろなことを学んでもらおうと思ったからです。若いうちから大きなプロジェクトにも参加できるのは、当社だからこそだと思います。
Q4. 機械設備部での「求める人物像」を教えてください。
A. まず何よりも「未知への探求心」です。これは、既に知り得ている技術・知識にとどまらず、常に上位(現状より上)を目指す姿勢です。先に紹介した撹拌機も、業界の枠を超えた探求心により、当社の求める機械を見出せた一例だと思います。また、重複する部分もありますが、「行動力」も重要です。自発的に考え、行動できる方でないと、当社の“少数精鋭”体制では通用しません。そして最後に、「瞬間的な体力」。設備導入時に向けた設計段階や、導入工事の際には、短期集中の仕事が要求されますので、数日間バテずについてこられる体力は必要です。