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技術情報

日本特殊研砥の弾性砥石の「品質」

 砥石の品質管理といっても、一般の品質管理と特に違うわけではない。考え方や方法は同じである。同じように製造しているつもりでも、原料ロットや温度条件、同種の機械が複数ある場合はその機差など、どうしても違いが出てくる。こうした中で押さえるべき条件を押さえて、安定した性能(性能=品質と考えてよい)を発揮する製品を供給するよう努力している。

 問題は安定した性能の指標である。砥石の性能というのは使用してみないと正確にはわからない。また砥石の使用方法は、顧客により様々であり、同一砥石であっても顧客が要望する砥石の性能は様々である。どのような特性をみて、砥石の性能を判断するのか、難しい問題である。

 日本特殊研砥では出荷検査として品質をみる場合、「硬度」「見かけ密度」を採用している。砥石は「砥粒」「結合剤=砥粒を固定する接着剤」「気孔=空間、空気」からなっているが、上記2項目はこれらの安定性を反映すると考えられるためである。

 「見かけ密度」とわざわざ「見かけ」を付けているのは砥石が多孔質であるためである。弾性砥石の場合、その多孔質度合(=気孔の体積比率)はおよそ40%〜80%である。「見かけ密度」とは単に寸法から求められる体積で砥石質量を割った値で、「嵩比重」と呼ぶこともある。 特に日本特殊研砥製品中化学反応法で製造するものについては、この「見かけ密度」の変化が製造中の種々のばらつきを反映している。

 「硬度」はまさにその通り、硬さであるが日本特殊研砥の場合は「弾性砥石」なので一般に流通している硬度計に適当なものがなく、自社製のものを使用している。上記「見かけ密度」が砥石のマクロ的品質を表現しているのに対し、「硬度」は砥石の局所的品質を表現しているといえる。

 「硬度」「見かけ密度」よりさらに詳しい情報がほしいときは「物性」を調査する。この場合の「物性」とは砥石のヤング率、引っ張り強度とひずみのことである。これらを測定することによって、砥石の研削性、摩耗性などより具体的な砥石性能を推定し、顧客の要望する品質への確証が得られることになる。

ただし、物性測定は破壊試験になるので顧客に出荷する砥石自体では行うことができない。

 もちろん、以上のようなことを管理していれば問題がないということではない。性能の正確な判断は使用結果から得られる。そういう意味で、顧客からもたらされる情報は重要である。

砥石の使用方法や研磨の対象材料が様々であるから、そこから得られる情報も種々雑多である。また、顧客による表現の違いもある。これらの情報をしっかり、正しく受け止めていくことが、製造プロセスも含め、トータルの品質管理にとって大切なことだと考えている。



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